こんなことで悩んでいませんか。
「引っ越したばかりなのに、もう収納が足りない気がする」
「片付けても、すぐにごちゃごちゃする」
「家が狭いわけじゃないはずなのに、なぜか落ち着かない」

子育てをしていると、ある時期から急に収納への違和感が強くなることがあります。
でもそれは、家選びや片付けが下手だからでも、計画が甘かったからでもありません。

この文章では、なぜ子どもの成長とともに「収納が足りない」と感じやすくなるのか、その背景を静かに整理していきます。
今の家を変えるべきなのか、工夫で乗り切れるのか、その前に気持ちを一度整えるための材料として読んでもらえたら嬉しいです。

成長とともに増える「見えない持ち物」

子どもが小さいうちは、持ち物の数そのものはそれほど多くありません。
服はコンパクトで、遊び道具も限られ、収納の中もまだ余白があります。

ところが、成長とともに少しずつ状況は変わっていきます。
サイズアウトした服、保育園や学校で作った作品、写真や記念品、行事ごとに使ったアイテム。
どれも日常的に使うものではありませんが、「そのときの思い」が一緒に残るため、簡単には手放せない存在になります。

捨てられない理由は「迷い」が残るから

こうした持ち物は、量としてはそれほど多くなくても、扱いに迷いが生まれやすい特徴があります。
「もう使わないけれど、今捨てていいのか分からない」
「いつか見返すかもしれない」
そんな気持ちが、判断を先送りにさせます。

収納が足りなく感じる原因は、物の量そのものよりも、判断を保留したまま置かれている物が増えることにあると、私は感じています。

使っていないけれど、不要と割り切れない。
その曖昧な状態の物が、押入れやクローゼットの奥に静かに積み重なっていきます。

「使う物」と「残しておく物」が混ざり始める

さらに子育て期は、「今使っている物」と「今は使わないが残しておきたい物」が混ざりやすい時期でもあります。
同じ収納スペースに両方が入ることで、出し入れがしづらくなり、結果として「収納が足りない」という感覚につながります。

収納の問題は、片付け方の工夫だけでは解決しないこともあります。
暮らしの中に「判断を保留している物」がどれくらいあるのか。
そこに一度目を向けてみるだけでも、今の違和感がどこから来ているのか、少し整理しやすくなるかもしれません。

「家の広さ」と「暮らしの変化」は別の話

相談を受けていて、よく聞く言葉があります。
「もう少し広い家なら、収納の悩みは解決しますよね」というものです。

確かに、収納量が多い家に住み替えると、当面は気持ちが楽になります。
物を押し込める余白が増え、「とりあえず片付く」状態になるからです。
その安心感があるのは、決して間違いではありません。

ただ、宅建士として住まいを見てきた立場からすると、家の広さと収納への満足度は、必ずしも一直線にはつながりません。
実際に、広い家に引っ越したあとで、「数年したらまた同じ悩みが出てきた」という声も少なくありません。

収納の悩みは、家の性能や広さよりも、暮らし方の変化に住まいが追いついているかどうかが大きいと感じています。

成長とともに変わる「使い方」

子どもが成長すると、暮らしの中で変わるのは物の量だけではありません。
使う場所、使う物、使う頻度、そのすべてが少しずつ変化していきます。

以前はリビングにまとめて置いていた物が、個人管理になったり。
季節用品や学用品が増え、出し入れの回数も増えたり。
そうした変化が積み重なることで、「広さはあるのに使いづらい」という感覚が生まれます。

「足りない」と感じる正体

このとき感じる「収納が足りない」という違和感は、実際の容量不足というより、今の暮らしに合っていない配置や使い方から来ていることも多いです。
家は変わっても、暮らしは止まりません。
変化を前提にしないままだと、どんな住まいでも、いずれ同じ感覚に行き着いてしまいます。

広い家に住むことが悪いわけではありません。
ただ、「広さ=解決」と考える前に、今の暮らしがどんなふうに変わってきているのかを一度整理してみる。
その視点を持つだけでも、次の選択が少し落ち着いて見えてくるように思います。

子育て期は「収納の正解」が揺れ続ける時期

子育て中の暮らしは、常に同じ形では続きません。
昨日までうまく回っていた収納が、ある日突然しっくりこなくなる。
そんな経験をしている家庭は、決して少なくないと感じます。

子どもの成長は早く、生活リズムも、必要な物も、関わり方も変わっていきます。
その変化に対して、収納だけがずっと同じ形で通用することは、むしろ少ないのかもしれません。

年齢によって変わる「扱いやすさ」

おもちゃの置き場ひとつ取っても、年齢によって正解は変わります。
自分で出し入れできる高さがいい時期もあれば、親が管理した方が落ち着く時期もあります。
学用品も、最初は親が一緒に管理していたものが、次第に子ども自身の領域へと移っていきます。

季節用品や行事のアイテムも同様です。
使う頻度や扱い方が変わるたびに、収納の役割も少しずつずれていきます。

うまくいかないのは失敗ではなく、暮らしが次の段階に進んだサインだと、私は思っています。

「できていた頃」と比べすぎない

「前はもっと片付いていたのに」
「以前はこれで問題なかったのに」
そう感じると、つい自分のやり方を責めてしまいがちです。

でも、その「前」は、家族の状況も、子どもの年齢も、今とは違っていたはずです。
うまくいっていた過去と比べるほど、今の違和感は大きく見えてしまいます。

収納が足りなくなったと感じたときは、暮らしが変わった事実に気づくタイミングなのかもしれません。

揺れるのは当たり前だと知る

子育て期の収納には、完成形がありません。
整えても、また揺れ、また見直す。
その繰り返しが、子育て中の暮らしなのだと思います。

「正解を見つけなければ」と思わずに、
「今はこういう時期なのかもしれない」と受け止めてみる。
その視点を持つだけで、収納に対するプレッシャーは、少し和らぐように感じます。

今の家でできる整理の考え方

引っ越しや住み替え、購入を考える前に、今の家でできることは意外と残っています。
ただし、その前提として大切にしたいのは、「一気に片付けようとしない」という姿勢です。

収納が足りないと感じているときほど、「全部見直さなければ」という気持ちになりがちです。
でも、そのやり方は負担が大きく、途中で疲れてしまうことも少なくありません。

「全部」ではなく「一部」から始める

見直す範囲は、できるだけ小さく区切ります。
一か所だけ、期間を決めて取り組む。
たとえば、クローゼットの一段だけ、押入れの一箱だけ。
それくらいの単位でも、暮らしの感覚は少し変わります。

対象も広げすぎないことがポイントです。
「この1年使わなかった物」だけを基準にする。
迷う物は、無理に結論を出さず、いったん別にまとめておく。
そうした余白が、気持ちを追い込まない整理につながります。

収納を増やす前に、今の暮らしに本当に必要な物を静かに確認することが大切だと、私は感じています。

片付けの目的を見失わない

整理をしていると、「きれいにすること」自体が目的になってしまうことがあります。
でも、本当に大切なのは、暮らしやすさが少しでも増えることです。

使いやすい場所に、使う物がある。
探す時間が減る。
出し入れに迷わなくなる。
そうした小さな変化が積み重なることで、「足りない」という感覚は、少しずつ和らいでいきます。

片付けはゴールではなく、暮らしを整えるための途中の作業だと考えると、判断は自然と整理されていきます。

今の家でできることを一つずつ試してみる。
その積み重ねが、「変えるべきか」「今はこのままでいいのか」を落ち着いて考える土台になるように思います。

引っ越しや住み替えを考える前の判断軸

宅建士として相談を受けていると、「収納が足りないから、引っ越した方がいいでしょうか」という問いは本当によく出てきます。
ただ、その場で「引っ越すべき」「今のままで大丈夫」と答えを急ぐことは、私はあまりしません。

収納の悩みは、住まいそのものの問題に見えて、実は暮らし方や気持ちの余裕とも深くつながっているからです。
まずは、何が一番つらいのかを丁寧に分けて考えるところから始めると、判断が落ち着きやすくなります。

「容量不足」なのか「使いにくさ」なのかを分ける

収納が足りないと感じるとき、原因は大きく二つに分かれます。
本当に収納量が不足しているケースと、収納はあるのに使い方が合っていないケースです。

たとえば、
・収納の場所が遠く、出し入れが面倒で床に物が溜まる
・家族の動線上に“戻す場所”がなく、仮置きが増える
・子どもの成長で使う物が変わったのに配置は昔のまま
こういう場合は、家の広さを変える前に、配置やルールの見直しで改善することもあります。

逆に、
・収納スペースが物理的に少なく、どう工夫しても収まらない
・季節用品や備蓄、行事用品を置く場所がどうしても確保できない
このような場合は、住まいの条件を見直す余地が出てくるかもしれません。

「動線」と「家族の運用」に目を向ける

収納の満足度は、収納量だけでは決まりません。
同じ量でも、暮らし方に合っているかどうかで体感は大きく変わります。

たとえば、片付けが苦手だからではなく、
「戻す場所が分かりにくい」
「出し入れに時間がかかる」
「家族それぞれの物が混ざってしまう」
そういう小さな使いにくさが積み重なって、ストレスが生まれていることも多いです。

住まいを変えるかどうかの前に、今の家で“暮らしが詰まっている場所”を一つだけ特定することが大切だと、私は感じています。

詰まっている場所が分かると、「ここが苦しいだけだった」と気づけることもありますし、逆に「全体的に余白がない」と分かることもあります。

「気持ちの余裕」が減っていないかも判断材料になる

収納の悩みは、気持ちの余裕と連動します。
同じ家、同じ物の量でも、忙しい時期には急にしんどく感じることがあります。

子どもの進級、仕事の繁忙期、家族の体調不良。
生活が揺れる時期は、収納も揺れます。
この場合は「家が合っていない」というより、「今は暮らしが詰まりやすい時期」かもしれません。

だからこそ、
今の違和感が一時的なものか、長く続きそうか。
そこを見極める時間を持つことが、十分な判断になります。

「変える理由」にも「変えなくていい理由」にもなる

収納の悩みは、住み替えのきっかけにもなります。
でも同時に、「今の家を続けるために工夫する理由」にもなります。

引っ越しを選ぶなら、
・収納量だけでなく、動線や暮らし方の変化に合うか
・数年後の子どもの成長も見据えられるか
こうした視点が支えになります。

今の家で続けるなら、
・一部だけでも運用を変えたら楽になるか
・戻す場所を整えるだけで改善するか
こうした試し方が、気持ちを整えてくれます。

焦って決めなくても大丈夫で、見極める時間を取ること自体が立派な判断だと私は思います。

収納の悩みが出たときは、「今すぐ結論を出す」より、「何が一番つらいのかを分けて見る」。
その一歩が、引っ越すかどうかに関わらず、家族にとって無理のない選択につながっていくはずです。

まとめ|収納が足りないと感じたときに立ち止まって考えたいこと

子どもの成長とともに、収納が足りなく感じるようになるのは、とても自然なことです。
それは計画不足でも、片付けが苦手だからでもありません。
暮らしが動き、家族のステージが一段進んだ結果として、今の家に小さな違和感が生まれているだけなのかもしれません。

収納の悩みが出てくると、「この家でよかったのか」「もっと考えておけばよかったのでは」と、過去の選択まで振り返ってしまうことがあります。
でも、そのときどきで最善だと思って選んできた住まいが、今の家族を支えてきた事実も確かです。

収納が足りないと感じる瞬間は、暮らしを見直すタイミングが訪れたという合図でもあると、私は思います。

引っ越すという選択も、今の家で工夫を重ねる選択も、少し様子を見るという選択も、どれも間違いではありません。
大切なのは、「どれを選ぶか」よりも、「なぜ今それを考えているのか」を静かに見つめることです。

一度立ち止まって、
・何が一番しんどいのか
・そのしんどさは、物の量なのか、気持ちの余裕なのか
・今すぐ変えたいのか、それとも少し待てるのか

そんな問いを、答えを出そうとせずに考えてみてください。
考える時間そのものが、家族の暮らしを大切にしようとしている行動です。

答えを急がなくても大丈夫です。
今の違和感と向き合った経験は、どんな選択をするにしても、きっと支えになります。
少しずつ、あなたの家庭に合った形が見えてくれば、それで十分だと私は思います。